『数学物語』 推理的思考を鍛える一冊
『数学物語』
動物には数がわかるのか? 人類の祖先はどのように数を数えていたのか? バビロニアでの数字誕生からパスカル、ニュートンなど大数学者の功績まで、数学の発展のドラマとその楽しさを伝えてくれる一冊です!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
矢野/健太郎
1912年生まれ。34年、東京大学理学部卒業。38年にパリ大学、41年に東京大学で理学博士号取得。東京大学助教授などを経て、58~72年の間、東京工業大学教授。また50~52年にはプリンストン高等研究所に留学、アインシュタインとも親交を結ぶ。専門は微分幾何学。旺盛な研究活動で世界の数学界に多大な影響を与え、日本数学界を国際化する牽引者となった。83年、勲二等瑞宝章。93年、没。
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【内容】
あるお城の塔の上に、からすが巣を作っていた。
これを見つけた城主が、このからすを生け捕りにしてやろうと考えた。
城主がそっと塔の中へ入ると、からすはすぐに気がついて巣を飛び立ち、城主が塔を出るまではどうしても巣に帰ろうとしなかった。何度繰り返してもだめなので、城主は一つの計略を思いつく。
二人の家来がいっぺんに塔の中に入り、しばらくして一人が塔を出ればからすは騙されて巣に帰るだろうから、塔に残っている家来がからすを生け捕るというもの。
・・・からすは騙されなかった。(もう一人の家来が塔を出るのを見届けていた)
次に三人の家来を使って同じ計略を試みた。
・・・からすは騙されなかった。(三人とも塔を出てから巣に帰ってきた)
次に四人の家来を使って同じ計略を試みた。
・・・からすは騙されなかった。
次に五人の家来を使って同じ計略を試みた。今度は五人の家来が塔に入るのを見てから巣を飛び立った。そのうち一人が塔を出ても、二人、三人出てもからすは巣に帰ろうとしなかった。ところがそのうち四人塔を出ると、からすは(これでみんな出てしまったと思い)巣に帰ってきてしまい、塔の中に残っていた一人の家来に生け捕りにされてしまった。
もしこの話がほんとうだとすれば、このからすは、
2と1 3と1 3と2 4と1 4と2 4と3 5と1 5と2 5と3
の区別はできるが、
5と4
の区別はできない
ということになる。
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動物にも数が数えられるのか?人間の推理的思考で証明できるのか?
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