senseinomirai日記

学校の先生がみる我が子の宿題大公開 最難関中学受験 丸写しはしないでね     ☆読書感想文・自由研究公開中☆2020

ビブリオバトル原稿『卒業ホームラン』重松清 著

ビブリオバトル原稿

紹介する書籍『卒業ホームラン』 重松清 著

 ぼくが紹介したい本は、重松清さんの『卒業ホームラン』です。重松清さんの作品は、入試問題でもよく目にしていたので、読書感想文の題材にもなるだろうと思い、数ある作品の中から「卒業」というキーワードに惹かれて夏休みに読んでみました。「ホームラン」という言葉は成功を意味します。ぼくは今、卒業を目前に中学受験で「ホームラン」を打ちたいという思いを抱いています。この本は、今やっていることに意味があるのか、頑張っていることの結果がだめだったらどうしようとか、将来への不安を抱えている人に励ましを与えてくれる一冊です。

 主人公の智は、卒業を間近に控えた小学校六年生です。智は野球チームに所属していて、監督が智の父親という、ぼくならば少しやりづらいかな、と思う関係です。智は野球が好きで一生懸命練習していましたが、なかなか上達せず一度も試合に出たことがありませんでした。六年生最後の試合、父はどうしても智を出場させてあげたかったのです。父は、補欠メンバーに登録するかどうかギリギリまで迷いましたが、チームで一番弱い智を出す理由はありませんでした。結局試合は大敗して、監督としての父の目標は達成できず、智もまた六年間の努力が報われることはありませんでした。
しかし、智の中では努力が無駄だったとは思わず、中学でも「野球部、入るよ」「野球が好きだから」と一点の曇りもなく言っています。頑張ること自体が楽しかったのです。

 努力することに何の意味があるのかと考えるのではなく、前向きに楽しく取り組むことで、諦めずに困難に立ち向かう逞しさを培っていました。
ぼく自身の場合は、しっかり勉強して試験に臨んだ時の方が緊張感もあり、点数にならなかった問題があったとしても、がっかりするのではなく、どうしてだったのかをあとからよく考えることがあります。こういう状況に似ているのかなと思いました。
物語の最後に、静まり返ったグラウンドで、父が智にボールを投げ、智がフライを打ったのを見て、「ホームラン!」と母が言ったのです。智への愛情を示したエールです。
野球のように、人生においても夢中で駆け出した先には、必ずホームベースが用意されていることを僕はこの本から学びました。家族の支えがあり、目標や夢に真っすぐに向き合い努力できるのです。周囲の評価や風向きに惑わされず安心して挑戦し続けていいのだと教わりました。

 この本は、自分の目標に迷いが生じた時に気持ちを支えてくれる本だと思います。是非読んでみて欲しいです。

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