senseinomirai日記

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読書感想文『氷の海を追ってきたクロ』 4年生

著書『氷の海を追ってきたクロ』

 

題名『氷の海を追ってきたクロ』 4年
           
 空を自由に飛べる鳥がうらやましかった。
生き抜くために、食べられるものは何でも食べた。家族に会うために、どんなつらい労働にもたえた。戦争が終わっても、日本へ帰ることができなかった日本人達は、決して希望を捨てなかった。寒くて、おなかがすいて、苦しくてもあきらめなかった。このままで死ぬわけにはいかなかった。
 戦争は、国と国との戦いだ。そこに人々の意思はなかった。いうことをきかなければ殺されるのだ。とてもこわい。今ぼくは、自分のことは自分で決めることができる。ちがう意見を言うこともできるし、わがままを通す時もある。自分の考えをしっかり持つように教えられている。それが、どんなに幸せなことかを考えるきっかけになった。
 日本人の収容者達は、まずしい思いをしているのにも関わらず、捨てられていた子犬を生活の一員に加えて、食べ物を分け与えたり一緒に野球をして遊んだりした。日本人らしい「やさしさ」を感じた。日本人のきずなを築いていく気持ちは今も昔も変わらないのだ。
 子犬はクロと名付けられた。クロは、作業を終えて疲れて戻ってくる日本人をいつも待っていてくれた。クロは、日本人にはなついていたが、ソ連兵にはよくほえたという。クロは、救ってくれた日本人の気持ちをよく理解してくれて、それがまたうれしかったのだと思う。そのおかげで、心に少しゆとりを持てた人々は、工夫して生活することを思い出し、仕事を楽しくするようになった。ともにふれ合いながら、クロはたくましく成長していき、日本人達は家族のぬくもりを思い出し、帰国への望みをさらに強くしていった。小さなたった一つの命が、こんなにも人の気持ちを動かすことができるとは、本当に感動的なことだ。
シベリアに抑留され、強制労働を強いられてから、たくさんの仲間が亡くなった。飼い犬がいることも見つかったら許されないので、クロのこともみんなで必死に守り続けた。
 昭和三一年一二月、ついに帰国の日が正式に決まった。動物はもちろん連れていけない規則だ。規則を破ったら、また帰国の機会がなくなる。しかし、日本の興安丸まで、クロを連れてきていた人がいたのだ。最初にクロを拾ってきた川口さんだ。大きなコートにかくして連れてきていた。やっぱりだめだった。クロは見つかり、船から降ろされてしまった。クロは船を追いかけ、割れた氷から何度も海へ落ちてははい上がった。それはまるで、日本人達がずっと苦しい労働に耐えてきた姿のようだった。「クロ―!」「クロ―!」みんなの一生けん命なうったえを聞いて、ついに船長が船を止めた。本当によかったなと思う。川口さんは、再びクロをだくことができた。
「最後まで希望を捨てちゃいけない。あきらめちゃだめだってことだ。」その時の写真を見て、ぼくは悲しい気持ちとうれしい気持ちが交じり合った。

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